3style習得法

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2022 - Adventarの11日目の記事です。

昨日の記事 :鉄Cuber さんの「メガミンクスのCNについて 

明日の記事 :梅子さんの「初心者向けにBLD解説してみる-苦しみを共有しましょう

こんにちは、たいへい(たいへい (@cubehiro) / Twitter)です。

今回は、ルービックキューブの目隠し競技(3BLD)で用いられる解法の1つである『3style』の習得法について、個人的に思ったことを書いていきたいと思います。

前提 

  • 3BLDのUF-UFRバッファについて書いてあります。
  • 筆者の3BLDの公式記録は単発42.96秒です。家での練習だと40秒以上のタイムが出ることはほとんどなく、30秒台前半が出ることが多いです。それぐらいの実力の人が書いた記事だと思って読んでください。
  • 筆者はブログを書くことが初めてなので、書き方が下手なところもあるかもしれませんがご了承ください。
  • わからないところがあったら、質問いつでも大歓迎です!!twitterとか大会とかで会ったときに、ぜひ聞きに来てください。お待ちしています。

    たいへい (@cubehiro) / Twitter

  • この記事で取りあげる方法は必ずしも正しいとは限りません。人によっては向かないことも書いてあるかもしれません。最終的にこの方法を採用するかどうかの判断は各自で行ってください。

想定読者

以下の条件全てにあてはまる人を想定読者とします。

これらの条件を満たしていない人は...本当にすみません。3styleに興味を持っていただけているのは大変ありがたいのですが、おそらく、この記事の内容と関係ない部分で労力がかかってしまうと考えられます

1つ目と2つ目の条件を満たしていない方は、おそらくこの記事を読んでもあまり理解できないと思います。3つ目の条件を満たしていない方は、この記事を読んでも恩恵をあまり得られないのではないかと感じます。おそらく分析や記憶などのタイムをもっと縮めることが出来るはずです。3BLDは数をこなせばだれでも180秒は出せるようになると思います。ですので、少し我慢して3BLDに慣れて条件を満たしてからもう一度戻ってきてください。なお、3BLDのやり方が分からないという方は3x3x3目隠し M2/OP法 甘やかし編 概論 - おもにBLD【初級解法】目隠しルービックキューブ解説 - YouTubeをご確認ください。

4つ目の条件については心配する必要はありません。この記事を読んでいるということは、あなたは、3styleを覚えたいという意欲を持っているに違いありません!何をやるにも、意欲というものは大切だと思います。ちょっと準備をして、この記事にまた戻ってくるのをお待ちしております!

3style の概要

3styleは、簡単に説明すると「3つのパーツの位置を交換させる手順」や「3つのパーツの位置を交換させる手順を繰り返し行うことで、パーツを揃える解法」を意味します。3つのコーナーの位置を交換させる手順や解法のことを「コーナー3style」、3つのエッジの位置を交換させる手順や解法のことを「エッジ3style」と呼びます。

3styleは、ルービックキューブの目隠し競技(3BLD)で使用されるスピード解法として広く使用されています。ルービックキューブを目隠しで揃える方法・流れは以下の通りです。

  1. 崩れた状態を文字列に変換する(分析)
  2. 文字列を記憶する(記憶)
  3. 目隠しをして、覚えた文字列に従って手順を回す(実行)
  4. 完成!!

3styleは実行の際に用いられる解法です。3style以外のほとんどの解法(OPOP、M2OP、Orozcoなど)では手順を1回行うことで1文字を処理します。しかし3styleでは、3つのパーツの位置を交換させる手順を行うことで、1回につき2文字を処理出来ます。

例えば、分析した文字列が「あすうえ」だったとしましょう。この時、OPOPやM2OP、Orozcoなどでは以下のように処理します。

「"あ"の手順を回す」→「"す"の手順を回す」→「"う"の手順を回す」→「"え"の手順を回す」(手順を4回回して完成)

しかし、3styleでは以下のように処理します。

「"あす"の手順を回す」→「"うえ"の手順を回す」(手順を2回回して完成)

このように3styleを習得することで、他の解法と比較して、手順を回す回数を約半分に減らすことができます。それによって揃えるのに必要な手数を大幅に減らすことが出来、実行のタイムを縮めることが出来ます。

しかし、3styleを習得するにはコーナー3styleで378個、エッジ3styleで440個、合わせて818個もの手順を覚える必要があります。これは膨大な量であり、闇雲に取り組むと挫折しかねません。そこで、今回の記事では818個全ての手順を覚えきるためのコツについて書いていきたいと思います。今回の記事では、全手順を覚えるためのコツについて「第1章 知っておいた方がいい4つの3styleの表記・性質」、「第2章 3styleを覚えるために行う作業や、手順を覚える順番」、「第3章 その他のコツ」の3章にわたって順番に紹介していきます。

第1章 知っておいたほうがいい4つの3styleの表記・性質(ここからが本題)

3styleの性質を知っているのと、知らないのとでは手順を覚える負担が全く違います。したがって、以下に挙げる4つの3styleの表記・性質は必ず知っておいた方がよいでしょう。

1. A-B-Cという表記

3styleではどの3つのパーツ、ステッカーの位置を入れ替えるのかを表すためにA-B-Cという表記が登場します。例えばUF-UR-ULだ UFとURとULのステッカーを入れ替える手順という意味です。これはUa-permですね。また, UFR-UFL-UBRだとUFRとUFLとUBRのステッカーを入れ替える手順という意味です。これはAa-permですね。

Aをバッファに設定すると、A-B-Cに該当する手順を回せばBに相当するステッカー(文字)とCに相当するステッカー(文字)を同時に揃えることが出来ます。なお今回の記事では、Bに相当するものを「1つ目のステッカー」、Cに相当するものを「2つ目のステッカー」と呼ぶことにします。

2. [X: [Y,Z] ]という表記

3styleの手順には [X: [Y,Z] ]という表記が登場します。この表記が出てきたときは

(X)→(Y)→(Z)→(Yの逆手順)→(Zの逆手順)→(Xの逆手順)

の順番で回します。例えば、[RUR',D]と表記されている時はRUR'DRU'R'D'と回します。また[R':[URU'R',D]]と表記されている時は R'URU'R'DRUR'D'Rと回します。

ちなみにXは「セットアップ」、[Y,Z]という表記で表される手順は「コミュテーター」と呼ばれることがあります。

3. [X: [Y,Z] ]と[X: [Z,Y] ]は必ず逆手順になる

3styleの最も重要な性質として [X: [Y,Z] ]と [X: [Z,Y] ]は必ず逆手順の関係になることがあげられます。例えば、[RUR',D]はUFR-RDF-FDL ですが、[D,RUR']はUFR-FDL-RDFとなります。この性質を知っていれば、覚える手順数を半分(409手順)に減らすことができます。

4. エッジ3styleでは対称性(鏡手順)を使用できる

エッジ3styleでは対称性(鏡手順)を使用できる機会が多いです。

例えば、UF-UR-LFは[U',R'ER]ですが、この手順を知っていればUF-UL-RFは簡単に覚えられます。UF-UR-LFとUF-UL-RFは左右対称な関係になっています。したがってUF-UL-RFは[U,LE'L']となります。[U',R'ER]と[U,LE'L']の関係性のことを「互いに鏡手順である」と呼ぶことがあります。

この性質と「[X: [Y,Z] ]と[X: [Z,Y] ]は必ず逆手順になること」を知っていれば、エッジ3styleの覚える手順数を4分の1ほどまでに減らすことができます。

おまけ.  関連リンク

話は少々ずれますが、3-styleについてもっと知りたい方は、以下のリンクが参考になります。自分の記事よりもはるかに分かりやすいことも考えられます。とくに1番上の記事は、この記事の内容と被るところも多いので是非読んでください!!

第2章 3styleを覚えるために行う作業や、手順を覚える順番

3styleの手順数は膨大なので順番を考えずに覚えようとすると、間違いなく挫折します。覚える順番はとても重要だと思います。本章では自分がおススメだと感じる、「3styleを覚えるために行う作業や、手順を覚える順番」について説明します。

基本的には以下で説明する「1. hinemosの準備」→「2. コーナー3style(全378手順)を覚える」→「3. エッジ3style(全440手順)を覚える」の順番で作業を進めてください。特にM2OPを使用している人は、コーナー3styleにおける手数削減の効果が大きいことから、この順番で作業を行うほうがよいでしょう。

1. hinemosの準備

3styleを覚える際にhimemosは絶対に使いましょう。hinemosはSakakiさん(Sakaki (@sak_3x3x3) / Twitter)が立ち上げた、スピードキューブの目隠し部門に取り組むキューバーを支援することを目的としたサイトです。3styleを覚えるための機能が充実しており、使わないのは損です。このステップでは2020年版・挫折しない3-style習得法 with hinemos - おもにBLDの「hinemosマニュアル編: 記憶の原則に則った3-styleの覚え方 準備編」を最後まで行っていただければOKです。hinemosのリンクはこちらです↓

BLDerによるBLDerのためのツールhinemos

2. コーナー3style(全378手順)を覚える

以下で説明する「ステップ1」→「ステップ2」→「ステップ3」→「ステップ4」の順番で覚えましょう。

ステップ1とステップ2、ステップ4を習得する時は、hinemosマイページから「一覧で確認」→「ナンバリング」をクリックすると50音順に各ステッカーごとに手順が表示されるので、その機能を用いて上から順番に覚えていきます。ステップ3ではhinemosの「問題リスト一覧」に上から表示されている順番に手順を覚えていきます。

ステップ1. UFR-(U面)-(D層側面) の手順を覚える

U面に該当するステッカーはUFL、UBL、UBRの3個です。D層側面に該当するステッカーはFDR、FDL、LDF、LDB、BDL、BDR、RDBRDF の8個です。

hinemosの準備が終わったら、まずは UFR-(U面)-(D層側面) の手順を覚えましょう。これらの手順は、法則性を見つけることで簡単に覚えられます。基本的には以下の順番で手順を回すという法則があります。

  1. 2つ目のステッカーをUFRに移動させる
  2. 1つ目のステッカーがUFLの場合はU'、UBRの場合はU、UFLの場合はU2を回す
  3. 最初にUFRに移動させた2つ目のステッカーを元の位置に戻す
  4. 1つ目のステッカーがUFLの場合はU、UBRの場合はU'、UFLの場合はU2を回す

これらの手順は今後3styleを覚えるときに何度も出くわす手順です。したがって、これらの手順は真っ先に覚えた方がいいです。これらの手順を全て覚えれば逆手順も含めて3×8×2=48個手順を覚えたことになります。

ステップ2. UFR-(U面)-(U面、U層側面、D面) の手順を覚える

このステップでU面から始まるものを全て覚えてしまいましょう。

UFR-(UFL、UBL)-(D面)の手順については以下の方法によってステップ1のパターンに帰着させることが出来ます。

  1. D面を回して2つ目のステッカーをDBRに移動
  2. そこからRD'R'を回して2つ目のステッカーをLDFに移動

あとの手順は丸暗記しましょう。OLLやPLLなどの見たことある手順も多いと思います。

ステップ1とステップ2を全て覚えれば逆手順も含めて102個手順を覚えたことになります。

ステップ3. hinemosの問題リストに上から表示されている順番に300個ほど覚える

ステップ2が終わったらhinemosの「問題リスト一覧」に上から表示されている順番に手順を覚えていきます。これで300個目ぐらいまで覚えましょう。丸暗記になってしまうところも多々あると思いますが、「Bという手順はR'してAを回す」みたいに派生形を知る感覚で挑むと覚えやすいと思います。あと、前述したように逆手順も同時に覚えることで負担を減らすことができます。

ステップ4. 50音順に、今まで覚えた手順を復習しながら、残りの手順を覚える

最後のステップです。ステップ3の方法で最後まで覚えてもいいのですが、hinemosの問題リストの最後に出てくる手順はどれも覚えにくいものばかりです。例えばUFR-RBU-FLU; [R': [R2D'R2DR2, U']] とか UFR-DFR-DBR;  [R2UR2U'R2,D'] とか。最後の方で覚えにくい手順が続くと挫折の要因にもなりかねません。そこで、自分はこの方法をおススメします。この方法だとあなたが既に3styleの手順の大半を覚えていることを実感することが出来ます。「ずいぶん沢山手順を覚えたな。残りはかなり少ないから頑張ろう!!」となって精神衛生的にも良い効果が見込めます。

ステップ4が終わればコーナー3styleはすべて覚え終わったことになります。おめでとうございます!!

3. エッジ3style(全440手順)を覚える

以下で説明する「ステップ1」→「ステップ2」→「ステップ3」→「ステップ4」→「ステップ5」→「ステップ6」の順番で覚えましょう。

ステップ1~6を習得する時は、hinemosマイページから「一覧で確認」→「ナンバリング」をクリックすると50音順に各ステッカーごとに手順が表示されるので、その機能を用いて上から順番に手順を覚えていきます。なお、コーナー3styleの場合と違い、hinemosの「問題リスト一覧」は使わなくてよいです。

ステップ1. UF-(U面)-(E列) の手順を覚える

U面に該当するステッカーはUR、UL、UBの3個です。E列に該当するステッカーはFR、FL、LF、LB、BL、BR、RB、RFの8個です。

hinemosの準備が終わったら、まずはUF-(U面)-(E列)の手順を覚えましょう。これらの手順はコーナー3styleの「ステップ1. UFR-(U面)-(D層側面) の手順を覚える」と同様に法則さえ理解してしまえば、簡単に覚えられます。例えば、UF-UR-(E列)の手順は以下の2パターンに分類出来、それぞれ以下の順番で手順を回します。

パターン1(E列のみを回すことで、2つ目のステッカーをFRに移動出来るもの)

  1. U'を回す
  2. 2つ目のステッカーをURに移動させる
  3. Uを回す
  4. URに移動させた2つ目のステッカーを元の位置に戻す

パターン2(E列のみを回すことで、2つ目のステッカーをFLに移動出来るもの)

  1. U2を回す
  2. 2つ目のステッカーをULに移動させる
  3. U'を回す
  4. ULに移動させた2つ目のステッカーを元の位置に戻す
  5. U'を回す

 UF-UL-(E列)や UF-UB-(E列)でもこの例と同様に法則性を各自で見つけてみましょう。気づいてしまえば、覚えるのは簡単です。

ステップ2. UF-(U面)-(E列に存在しないもの) の手順を覚える

ステップ1が終わったら、このステップでU面から始まるものを全て覚えてしまいましょう。原理等は理解せず丸暗記でいいと思います。鏡手順も活用しましょう。

ステップ3. UF-(M列のみを回すことでUFバッファに移動可能なもの)-(全部) の手順を覚える

M列のみを回すことでUFバッファに移動可能なステッカーはFD、BU、DBの3個が該当します。

これらの手順は基本的にステップ1と同様に法則性に気づいてしまえば、簡単に覚えられます。例えば、UF-DB-(M列に存在しないもの)は以下の2パターンに必ず当てはまり、それぞれ以下の順番で手順を回します。(※UF-DB-(M列)の手順は丸暗記してください。UF-DB-(UB、BU、DF、FD)の4パターンしかありません。)

パターン1(2つ目のステッカーがR層側面かL層側面にあるもの)

  1. 2つ目のステッカーをUFに移動させる
  2. M2を回す
  3. UFに移動させた2つ目のステッカーを元の位置に戻す
  4. M2を回す

パターン2(2つ目のステッカーがR面かL面にあるもの)

  1. M'を回す
  2. 2つ目のステッカーをBUに移動させる
  3. M2を回す
  4. BUに移動させた2つ目のステッカーを元の位置に戻す
  5. M'を回す

UF-FD-(M列に存在しないもの)や UF-BU-(M列に存在しないもの)でもこの例と同様に法則性を各自で見つけてみましょう。気づいてしまえば、覚えるのは簡単です。

ステップ4. UF-(M列に存在するが、M列のみを回すことでUFバッファに移動不可能なもの)-(全部) の手順を覚える

M列のみを回すことでバッファに移動不可能なステッカーはBD、DFの2個が該当(※UBは1で既に覚えているので除外)します。

これらの手順は基本は丸暗記ですが、鏡手順を使用すれば覚えるべき手順数が40%減ります。また、前述したようにこれまで覚えた手順の逆手順に注目することでも負担を減らすことができます。

ステップ5. UF-(L面、L層側面)-(全部) の手順を覚える

L面に該当するステッカーはLF、LD、LB、LUの4個です。L層側面に該当するステッカーはFL、DL、BLの3個が該当(※ULは1で既に覚えているので除外)します。

これらの手順も基本は丸暗記です。ただし1手回すことで、これまで覚えたステップ1~4のパターンに帰着させることが出来るパターンもあるので、そういった手順は積極的に理解しましょう。(例えばUF-LU-LFは[S:[U',R'ER]]ですが、これはSを回してUF-UR-LFを回しているだけ等)

また、前述したようにこれまで覚えた手順の逆手順に注目することでも負担を減らすことができます。

ステップ6. UF-(R面、R層側面)-(全部) の手順を覚える

R面に該当するステッカーはRF、RD、RB、RUの4個です。R層側面に該当するステッカーはFR、DR、BRの3個が該当(※URは1で既に覚えているので除外)します。

ステップ5まで覚えてしまえば、ステップ6では鏡手順を使用することで一気に全ての手順を覚えることが出来ます。自分はステップ1~5まで覚えるのに1か月ほどかかりましたが、このステップは1週間ほどで覚え終わりました。

ステップ6が終わればエッジ3styleはすべて覚え終わったことになります。おめでとうございます!!

第3章 その他のコツ

3styleを覚える心構えなどのコツを紹介していきます。

1. 3styleは大部分が暗記である

個人的に3styleは暗記8割、理解2割だと思っています。全ての手順に対して仕組みや法則性、「なぜ揃うのか?」といったことを理解しようとする必要はないです。2章で取り上げたような「法則性があるパターン」や、「1手で回すことで、これまでに覚えた手順に帰着させられるパターン」のように「理解したほうが楽に覚えられる場合」以外は腹をくくって丸暗記してしまいましょう。むしろ丸暗記パターンの方が多いように感じます。OLLやPLLを覚えるときは、仕組みなど考えずにとりあえず覚えてしまいますよね?それと同じ感じです。

2. 最初から完璧な手順を覚えない

手順表に載っている手順と全く同じものを、最初から覚える必要は必ずしもありません。覚えにくい・回しにくい手順は、自己流の手順で妥協することもアリです。

例えば、UFR-RDF-DFLは、自分の手順表に載っているものだと[RD: [U,R'D'R]]でした。しかし、回せばわかりますがこの手順はAa-permです。なのでR2D2R'U'RD2R'UR'と覚えました。またUF-LU-FLは手順表に載っているものだと[RwU: [Rw'ERw,U]]でしたが、自分は[S:[U',RE2R']](自作手順)を使用しています。こちらの方が理解しやすくて回しやすいと感じています。

このようにスピードにあまり影響ないのであれば、嫌いな手順は自己流の手順を使うこともアリです。ただし、あまり妥協し過ぎると後で覚え直す時に大変になります。そのあたりは自分のモチベーションと相談してください。

3. 一気に覚える

3styleは818手順もあるので、その多さから毎日少しづつ何年もかけて覚えようという考えの人もいるかもしれません。しかし、この方法はあまりおススメしません。例えば1日に2手順を覚えるとすると409日、つまり1年以上かかります。時間がかかりすぎるとモチベーションも続かないと思うので期限を決めて一気に覚えてしまうのがよいと思います。自分は週に50手順覚えることを目標に取り組んでいて818手順覚えるのにかかった期間は3か月半ほどでした。ちなみにうえしゅうさん(うえしゅう (@uesyuu_cube) / Twitter)は1か月程で全部覚えたらしいです。恐ろしい...。

あと、3styleを一気に覚えたいのであれば、廃人的な考え方ですが自由時間は全て3styleを覚えたり考えたりすることに捧げるのもいいと思います。キューブ以外にもやりたいことをお持ちの方もいると思いますが、受験とかと同じように目標を達成するために覚悟を決めることも時には大切です。一旦それらをシャットアウトして、その代わりに3styleを短期間で集中して覚えてしまうというのも人によってはアリだと思います。

4. ざっと手順を覚える・手順の感覚をつかむ

短い期間で手順を覚えるコツは、沢山の手順を毎日回して感覚をつかむことです。先ほど、自分は週に50手順覚えたと書きましたがこれは1日に7~8手順ずつ覚えていたという意味ではありません。毎日同じ50手順を回すことを7日間繰り返したという意味です。初めて見る手順はとりあえず回してみて、指使い等の感覚をなんとなくつかんだら次の手順に進んでいいです。1日に少数の手順を完璧に覚えようとするよりも、多くの手順を大雑把に覚えて何度も繰り返すやりかたの方が個人的にはあっていました。

大雑把に覚えるコツとしては「各手順に対して感覚をつかむ」ことがあります。例えばJb-permを見たとき多くの人は「回しやすい」と感じるはずです。一方でN-permを見たら「サイアク...」と思うでしょう。こんな感じで、「回しやすい」、「回しにくい」、「シンプルだな」、「へんなことするな」、「最初にこの回転をするんだな」、「このパターンに帰着させるんだな」...など各手順に対して何かしら感覚や感想を持つことが短期間で手順を沢山覚えることにおいて重要だと感じます。

5. 手順習得のための練習方法

手順を覚えている時は以下のルーティンを毎日行うのがいいと個人的に思います。自分が3style習得している時もこんな感じの練習方法でした。この方法だと、先週に覚えた手順を50個、今週覚える予定の手順を50個、合計100個の手順を毎日確認することになります。確認する手順の個数や手順を回す回数等は各個人のペースに合わせて調整していただいて構いません。

  1. はじめに、先週に確認した50個の手順を1手順につき9回ずつ回す(※3styleを覚え始めた初週であるなら次のステップへ)
  2. 次に、今週覚える予定の50個の手順を1つずつ確認する。確認する順番は50音順や、hinemosの「問題リスト一覧」に載っている順番等が良い。1つの手順につき最低12回は回す。何回も回して指使い等の感覚をなんとなくつかんだら次の手順に進む。
  3. これら2つのステップを毎日1週間繰り返す。50個の手順を覚え終わったら最初のステップに戻り、次の50個の手順を覚え始める

また、「手順はスムーズに回せるようになったけど、手順を思い出すのに時間がかかる」という人は以下の練習も合わせて行うと良いです。

  • 毎日、hinemosの「3-style Scrambler」や「クイズ」などで、先週覚えた手順を1巡する
  • 3日に1回、hinemosの「3-style Scrambler」や「クイズ」などで、今まで覚えた手順を全て復習する
  • コーナー3styleかエッジ3styleのどちらか全てを一通り覚え終わった人は、csTimerを使ってコーナーBLDやエッジBLDを沢山する
  • 全818手順を一通り覚え終わった人は、3BLDを沢山する

3styleの習得には「覚えること」だけではなく、「思い出すこと」も同じ位重要です。手順思い出すのに時間がかかって手が止まっていれば、タイム短縮のために3styleを覚えた意味がありません。手順を思い出すことは初めは大変だと思いますが、上記のような練習を何回も繰り返すことで徐々に思考回路が作られていき、思い出すのにかかる時間がどんどん短くなってきます。最終的には「手順を一瞬で思い出して反射的に回せるようになること」を目指しましょう!

6. 指遣い

3styleには、開眼の3では普段使わない指遣いが多く登場します。コーナーだとU,D同時回し、エッジだとSやEなどですね。指遣いの特殊性が3styleを覚えるうえでハードルを上げている部分もあると思います。指遣いを覚える方法としては以下のものが考えられます。

  • 大会やオフ会、Twitter等で上級者に質問する
  • 指遣いについて解説している動画を見る
  • 早い人の動画をスロー再生して、指遣いを確認する(自分はまだ出来てません)
  • 何回も練習する

最後が一番大事だと思います。[U',R'ER]や[S',R'FR]などシンプルな手順を沢山回してみましょう。最初は苦労するかもしれませんが、しばらくすると慣れてきます。

関連リンク

指遣いの習得に使えそうな動画をまとめておきました。もちろん、ここに挙げた動画だけでなく、YouTubeなどで色々な人の指遣いを確認しましょう。

3-Style Method: Parity / Corner Twists / Edge Flips! - YouTube

Janak Palit - YouTube

Full UF commutators execution - YouTube

3BLD Mo1000 Full Vod (April 2022) - YouTube

おわりに

非常に長い記事になりましたが、ここまで読んで頂き、ありがとうございます。これを読み切るほどの熱意があるあなたならきっと3style全てを覚えきれると思います。(どこかで似たフレーズを見たことがあります。勝手に使ってすみません)

3styleを定着させることが出来れば、実行が格段に速くなります。楽しくて気持ちいい世界が待っています。目隠しルービックキューブ(3BLD)が楽しくなること間違いないです。

この記事を読んだキューバー全員が3styleを習得できますように...

謝辞

今回の記事の執筆にあたって、Sakakiさん(Sakaki (@sak_3x3x3) / Twitter)とK.H.Cuberさん(K.H.Cuber (@Ma29K) / Twitter)には様々な面でご協力を頂きました。

この場を借りてお礼を申し上げます。